人間の土地
ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。
夜間飛行ならぬ夜間走行で山へ向かう。
彼が上空から見た人間の営みもこんな風に見えただろうか。
一気に登る。
期待していた雪山ではなかった。
それもそのはず、うかうかしていたら1ヶ月以上経っていたんだよ、かわうそ君。
ここは石灰岩でできた山。前回はあまり見えなかった岩がたくさん顔を出している。
山にも春が来ていた。
それでも足元には盛大に霜柱が 。
白い砂漠のようだ。
本当の砂漠とは逆に水で溢れている。いや、水しかない。
彼が愛した本物の砂漠に比べたら公園みたいなものだが、それでも今の僕にとっては
生を実感できる「人間の土地」。
風が吹くとエビのしっぽがカラカラと音をたてて落ちる。
まるで花びらのように。
こんな不思議な光景も。
草についたエビのしっぽでニョロニョロの出来上がり。
僚友諸君、わが僚友諸君、ぼくはきみたちを証人に立てる、これまでに、どのような場合に、ぼくらが幸福であったかを思い出して!
今日まさに幸福な一日。
下山は福寿草が咲いているという廃村の方へ降りるつもりだったのだが、そこから駐車した場所までの道が通行不能とのこと。
また次回に。福寿草に間に合うだろうか?
代わりに帰り道、ずっと気になっていた場所に寄った。
一説には国境を跨いだ長屋があったとも。
実際はどうなんだろう?