かたじけなさに涙こぼるる~その2
さてつづきです。その1はこちら。
大多数の日本人と同じく(?)僕は宗教の何たるかを解っていない。
だがこんな経験がある。
昔、奈良からの帰り、近鉄電車から大神神社のご神体である三輪山を見た時、
ちょうど西日があたる時間帯だったこともあるのか、なんとも言えぬ神々しさを感じた。古代の人々も感じたであろう神々しさを。
2日めの朝、登り始めたらすぐに雪道。
30分ほどの槍見台という場所で、なるほどはじめて槍が見えた。
ところが、この頃から脚が悲鳴を上げ始めた。アキレス腱が痛いし、腿が上がらない。えっ、最近登ってた山は山とは言えない山だったのか、テント場に荷物は半分置いて来たっていうのに、登山ってこんなに辛かったっけ?10歩登ることに立ち止まり(止まるつもりはないのに止まってしまうなんて初めて)これじゃ夏の縦走も覚束ないぞ、一から鍛えなおさなければ!などと考えつつ何とか辿り着いた稜線。
「何事のおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」
西行が伊勢神宮で詠んだとされる歌。
この稜線から見たのは当にそんな歌を思い出させる風景だった。(例によって涙こそこぼさなかったけどね。)
槍~穂高
常念から大天井。
乗鞍岳と御岳。
松本平。
八ヶ岳。
甲斐駒と左にうっすら富士山。
もう一度槍。この谷がスゴい!
ついでに
キリがないので動画にしました。
そしてヒイヒイ言いながら下山。
食後、山小屋の喫煙スペースで一服していると妙齢の女性が近づいてきて、
「すみません、タバコ1本頂けませんか?ここには売ってなくて。」
当たり前だろ(笑)
聞いてないけど話しだした。
「最近ピッケルを買ったので涸沢から北穂に連れてってもらいました~。」
「案外すんなり登れましたよ~。」
何っ!? 初心者でもピッケルさえ買えば雪の北穂に登れるのか!?
く、口惜しい! ま、仕方ない。装備を揃えて来シーズンの楽しみにしよう。
そしてテントでまったりしていた時見たのが、これだ。
どうやら神は存在するようだ。