ダンドリくん
同僚にパニック障害の男がいる。
車は渋滞が怖くて30分以上は運転できない。地下鉄や映画館など閉鎖空間は駄目。
聞けばもともと几帳面で、仕事は段取りよく常に先回りしてこなしていかなければ
気が済まないと言う。
そんな彼を発病させたのが、上司である。
細かなことにいちいちネチネチと口を挟み(彼曰く)彼の段取りを狂わせる。
ダンドリくんにとって一番辛いのはダンドリを狂わされることだ。
それも自分の失敗ならともかく他人によって。
僕も結構なダンドリくんだが、少々段取りが狂ったとしても、
そんなものだと開き直ることができるので発病はしないが
毎夕、目の前で精神安定剤を飲む彼を見るにつけ、彼の持って生まれた
資質を思い憐憫の情を禁じ得ない。