山ノオト 食ノオト

山で街で右往左往する日々

豆腐とコガネムシ

小さい頃、二筋先の豆腐屋によくおつかいに行った。鍋を持って時には兄と、時には弟と、朝の味噌汁の具を買いに行くのだ。一丁45円とかだったと思う。

その道中の中程に僕ら子どもたちが「大きい木」と呼んでいる場所があった。今思うとコナラかクヌギかあるいはケヤキだろうか、天辺が見えないほどのまさに大きな木が5,6本並んで生えていた。そこは小学校の集団登校の集合場所にもなっていて、件の豆腐屋のお兄ちゃんは確か僕が1年生の時に6年生でよく彼に付いて歩いていた。

 

大きい木では夏ともなるとニイニイゼミアブラゼミがわんさと鳴いていて(当時はまだクマゼミは珍しかった)小さな僕はいつも上を見上げていた。

あいにくそこにはカブトやクワガタはおらず、僕らが「マント」と呼んでいたコフキコガネがたくさんいた。(マントの名の由来は今もって謎)

f:id:jandy1969:20140730200831j:plain

甲虫としてはカブト・クワガタを頂点とするとゴマダラカミキリより下、ドウガネブイブイよりは上といった位置付け。それでも甲虫は甲虫。低学年の僕にとって、行動範囲が拡がりちょっと離れた所へクワガタを採りに行くようになるまでは、一番の獲物だった。胸と腹の間に糸を巻いて飛ばしたりして遊んだものだ。

 

そして当時我が家の前にはニセアカシアの林があってドウガネブイブイがうじゃうじゃいて夜ともなると家の灯りに飛んできた。

f:id:jandy1969:20140730200851j:plain

うっかり捕まえると手に糞をして別名屁こきコガネとはよく言ったものだ。そのコフキコガネドウガネブイブイも最近あまり見なくなった。そして大きい木たちもニセアカシアの林も随分前に伐られてしまった。

 

豆腐といえば大豆だが、先日okkoさん(id:okko326)がアーサー・ビナードの「亜米利加ニモ負ケズ」という本を紹介されていて、こういうヘンな外人の本が大好きな僕は早速読み始めた。すると、はじめの方にマメコガネ(japanese beetle)の話が出てきた。

f:id:jandy1969:20140730202542j:plain

100年位前にハナショウブに付いてアメリカに渡り農作物に大被害を及ぼしたという。僕の中ではマメコガネは枝豆の葉っぱに付いてる虫だ。これも当時家の周りにいっぱいあった枝豆の葉にびっしり付いてた光景が目に浮かぶ。アメリカでもそんな風に農作物を食い荒らしたようだ。アメリカが現在TPPでやいのやいの言うのはマメコガネを根に持ってのことかもしれないw。

 

こんな風に僕の中で虫と郷愁は多分に結びついている。

 

豆腐屋のお兄ちゃん、先日この地方のローカル番組に登場していた。街の豆腐屋の子どもが今では〇〇食品の社長さんとして。