ふるさとの山
濃尾平野の真ん中で育った僕には、ふるさとの山というものがない。
ふるさとの川も、海もない。
強いて言えば、ここいらの小中学校の校歌に歌われる伊吹山が
準・ふるさとの山と言えるかもしれない。
伊吹山(いぶきやま、いぶきさん)は、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山地の主峰で、標高1,377mの山である。日本百名山、新・花の百名山、および関西百名山に選定されている。濃尾平野では、冬季に北西の方角から吹く季節風を「伊吹おろし」と呼ぶほか、校歌に「伊吹山」に関する語句が歌詞に使われていることが多い。
しかし、その伊吹山にしても目の前にどんと聳えるというわけではなく、
御岳山や恵那山、御在所岳といった山と同じで街中からは建物の間から
小さく見える程度。意識して見なければ存在さえ忘れてしまうくらいだった。
伊吹山は登るには結構ハードな山だ。それまで低山ばかり登っていた僕が初めて
登山らしい登山をしたのはここだったが、キツかったのなんの。
大嫌いなゲレンデ歩きはあるし、標高差も1000m以上ある。
夏などは日射しを遮るものがなくとても暑い。
そして、山頂にいるのはおよそ造形美とはかけ離れたヤマトタケルノミコト。
ところが最近では、朝起きれば今日は伊吹山が見えるかな?と確認し、
建築物の間からその姿を探している。
いつの間にか伊吹山が僕にとって、準・ふるさとの山 から 正・ふるさとの山
に昇格したようだ。